親のためのソーシャルゲーム「パズドラ」基礎知識

2013年2月21日木曜日

ゲーム パズドラ

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スマホやタブレットPCで遊ぶ「パズドラ」というソーシャルゲームを知っているだろうか。
最近では、電車の中やファミレスなど街中でやっている姿を見かけるようになった。以前は、学生がたむろしてニンテンドーDSをやっている姿をよく目にしたが、今は、スマホに向かってパズドラをやっていることも。
我が家では、5歳の園児をはじめ家族全員が夢中だ。幼稚園でもパズドラをやっている子がけっこういるという。

パズドラは、ガンホーが提供するソーシャルゲームだ。
2012年2月20日にスタート。公開後わずか1年、数日前に900万ダウンロードを達成。ガンホーの株価もパズドラ公開以前より10倍以上となり、今や、オンラインゲーム関連では、グリーを追い抜き、DeNA、ネクソンに次いで時価総額3位となった。

パズドラがソーシャルゲームであるがゆえに、ハマっている子どもを見て、心配する親も多いことと思う。これまでのソーシャルゲームがそうだったように、出会い系に似たトラブルやお金の使いすぎによるトラブルなどの心配だ。

この記事では、親が知っておきたい「パズドラ」基礎知識をまとめておく。


 総括。「パズドラ」、親が注意するのは、(子どもの)お金の使いすぎ

ソーシャルゲームから引き起こされるトラブルを、親の立場で心配するとき、以下の4つのケースがまず頭に浮かぶのではないか。

【1】「出会い」や「甘い誘惑」によるトラブル

出会い系への勧誘や甘い誘惑のメール・リンク

【2】エログロ表現

暴力や犯罪、エロな表現による悪影響

【3】ハマリ過ぎによる引きこもりや不登校、中毒などの症状

やり過ぎ、ハマり過ぎによる悪影響

【4】(子どもの)お金の使いすぎ

子どものお金の使いすぎ(課金しすぎ)


この後で解説していくが、結論から言うと、親がもっとも心配すべきは【4】(子どもの)お金の使いすぎ、だ。
逆に言うと、この点をケアしておけば、現状、「パズドラ」は、それほど心配する必要のないソーシャルゲームと言える。


 「パズドラ」とはこんなゲーム

このブログの以前の記事(マーケッターのためのソーシャルゲーム「パズドラ」<入門編>)に簡単ではあるが、以下のように説明した。

パズドラは、正式名称、パズル&ドラゴンズ。
イメージとしては、「ぷよぷよ」のようなパズルゲームと「ドラクエ」のようなRPG(ロールプレイングゲーム)が合わさったようなゲームだ。
プレイヤーは、5体のモンスターを操って各ステージに現れるモンスターと対峙する。攻撃の善し悪しは「ぷよぷよ」的な色の付いたタマをいかに連鎖させられるかとモンスターが固有に持つ特殊スキルの使い方にかかっている。
ステージのすべての敵を倒すと経験値の他、コインやモンスター(の卵)を得ることができる。プレイヤーは、RPGのように、自分が操るモンスターをより強力に育てながらステージをクリアしていく。


これ(↑)は、プレイ中の画面。
画面上というか奥にいるのが敵モンスター。その下に四角で囲まれたカードのようなモンスターが6つ並んでいる。これがプレイヤーのモンスター。
6体のうち5左から5体がプレイヤー自身のモンスター。一番右にいる1体はフレンドになった友達のモンスターだ。ダンジョン攻略のお手伝いをしてもらっている。

直接の知り合いやゲームを通してフレンドになったモンスターと一緒にチームを組んでゲームを進めていく。ここが、ソーシャルゲームとしての要素だ。


ロールプレイングゲームのように、「悪の帝王を倒す」「さらわれたプリンセスを救出する」などの目的はない(もしかしたら、あるのかもしれないが、プレイヤーは特に意識しない)。
プレイヤーは、この「ぷよぷよ」のようなパズルゲーム自体が楽しい。もちろん、どんどん自分のモンスターが強くなり難しいステージをクリアしていくのは楽しい。
パズル部分は、慣れてくると誰でも比較的かんたんにできる。テクニックがあればよりうまくこなすことはできるが、デタラメにやってもある程度はクリアできるようになっている。カラオケやパチンコのように、誰でも簡単にできて、やればやっただけ上手になり、そして、うまくこなせるとその行為自体が楽しくなる。そんなゲームだ。

ゲーム画面を通して、関係してくる他人は、モンスターを倒すときに助っ人としてお手伝いしてもらう「冒険者」や「フレンド」だけだ。その他は、ガンホーの事務局(スタッフ)から、お知らせが届くが、それくらいだ。
ゲーム画面を通して、他のフレンドとチャットなどの会話をすることはできない。だから、ゲーム画面を通して他のプレイヤーとの交流を楽しむ要素はほとんどないと言える。

プレイヤーがお金を払って購入できるのは、「魔法石」と呼ばれる仮想の宝石だけだ。魔法石は1個85円。ボリュームディスカウントもあり12個850円。30個2000円など。
魔法石は、ゲーム内の共通通貨。魔法石があれば、ゲームを好きなときに好きなだけできる(ゲームのプレイ時間を購入できる)。魔法石があれば、強いモンスターが当たるかもしれないガチャを回すことができる(強いモンスターを倒すことなく、鍛えることなく購入できる)。ダンジョンの途中で倒されても続行できる(ゲームの続行権を購入できる)。魔法石があれば、所有するたんさんのモンスターを保存する「モンスターボックス」と呼ばれるスペースを大きくできる。より大きなモンスターボックスがあると効率よくモンスターを強化することができる。

魔法石は、お金で購入しなくても、ダンジョンをクリアすれば1つ手に入る。ただし、ゲームが進んでいくと1つのダンジョンを制覇するには相当な時間と労力が必要だ。魔法石は、時間と労力を節約するためのアイテムとも言える。
(その他、魔法石は、x00万ダウンロードなどの記念すべき日や事務局側の不具合があったときなどにも配布される)。

プレイヤーは自分が所有するたくさんのモンスターの中から5体を選んで敵モンスターを倒していく。モンスターは、敵モンスターを倒すと手に入ることがある。その他は、ガチャ(魔法石が必要な「レアガチャ」の他に友情ポイントをためて回すことのできる「友情ガチャ」がある)を回したときに手に入る。モンスターは、手に入れたモンスター同士を「合成」すると強くなる。


 【1】「出会い」や「甘い誘惑」によるトラブル。ほとんどできない仕様

パズドラでは、【1】「出会い」や「甘い誘惑」によるトラブル、をあまり心配しなくていい。
というのも、パズドラのゲーム画面では、他人とのメッセージのやりとりがほとんどできない仕様だからだ。

ゲーム画面に出てくる他人は、ほぼモンスターを倒すときに助けてもらう助っ人である「冒険者」と「フレンド」のみ。ゲームの中で知り合った「冒険者」とは、モンスターを倒すお手伝いをしてもらった後、プレイヤーからフレンド申請を出して、しかも、それが受理されたときのみ「フレンド」となる。また、プレイヤーが「フレンド」として登録できる人数には限度があのでプレイヤーは「フレンド」として登録することにシビアだ。
「フレンド」とはメールのように長文のメッセージのやりとりができるが、フレンドとなるには、非常に高いハードルを越える必要がある。パズドラを出会い場として、トラブルに巻き込もうとする悪人がいたとしてもそれを実行するのは容易ではない。大量・無作為にメッセージを送りつけることは不可能だ。

上記では、「パズドラのゲーム画面では」という書き方をしたが、ゲームを介さずにフレンドとなったりメッセージのやりとりをする可能性が若干ある。
パズドラ専用の掲示板などコミュニティの存在だ。メジャーゲーム化しつつあるバズドラには、インターネット上やアプリとして専用の掲示板やコミュニティが出来ている。やや心配な存在ではあるが、だが、そこでの話題は、もっぱら特定の強いモンスターを持つフレンドを募集したいという旨の投稿がほとんどだ。話題がパズドラから離れることは稀だ。こちらもそれほど警戒しなくていい。


 【2】エログロ表現。ほとんどできない仕様

親の立場では、ゲームの中で、暴力や犯罪、エロな表現がなされていないか心配だ。特に、プレーヤーが小さな子どもだとなおさらだ。

「パズドラ」では、子どもに悪影響のありそうな暴力や犯罪、エロな表現はほとんど出てこない。
また、ゲームの中で知り合った見ず知らずの人から暴力や犯罪、エロな表現のあるメッセージを受け取る心配もほとんどない。

考えに考えて何らかのメッセージを送ろうとすると…
助っ人として登場するプレイヤーの名前は、入力した本人が打ち込んだ内容がそのまま他人のプレイヤーの画面に表示される。見ず知らずの人がプレイヤーの名前としてメッセージを送ろうとすれば送れなくはない。ボク自身ほとんど体験したことのない稀なケースではあるが、プレイヤーの名前として電話番号や特定のコミュニティの隠語を使えば何らかのメッセージを送れなくはない。(パズドラ事務局は、このへん、チェックしてるかな?)


 【3】ハマに過ぎによる引きこもりや不登校、中毒などの症状。特別の心配すべき理由はない

これまで説明してきたように、ゲーム画面の中で見ず知らずの人と知り合いとなるきっかけはほとんどないし、チャットなど会話を楽しむ機能もない。
オフラインのテレビゲームと同程度に、ハマリ過ぎによる引きこもりや不登校、中毒などの危険はあるかもしれないが、ソーシャルゲームだから特別そうした危険性があるというわけではないだろう。


■ 【4】(子どもの)お金の使いすぎ。親はもっとも警戒しておくべき

ゲームを進めていくと、1個85円の魔法石が欲しくなる。

パズドラのプレイ時間は、「スタミナ」と呼ばれるメーターで管理されている。例えばスタミナ30あるプレイヤーは、プレイするのにスタミナ10消費するゲームを3回までしか続けてできない。
スタミナは10分で1増加するので、このプレイヤーの場合、300分(5時間)経過すればまたもとにもどる。
だが、パズドラには、例えるならタイムセールのような仕組みがあり、どうしても特定のダンジョンに限られた時間の中でたくさんこなしたくなったりする。やりたくてもやれない、こんなときに魔法石が欲しくなる。

どうしても欲しいモンスターがいる。そのモンスターが今ならガチャで当たる確率が高いという。そんなときに、魔法石を使ってガチャしたくなる。

あと少しでダンジョンをクリアできる…というところでミスをしてやられてしまった。ここまでくるのに30分以上かかった。魔法石があれば、ゲームを継続できる…そんなときに魔法石でゲームを続行したくなる。

ガンホーは、未成年の課金トラブルを未然に防ぐために、いろいろと対策を立ててはいる。
魔法石のショップでは、20歳以上であることを確認する旨のメッセージが表示される。
また、(ガチャはあるが)コンプガチャのように射幸心をあおる仕組みは弱めている。ゲーム自体もお金さえ出せば強いモンスターが手に入ったり、上位のダンジョンに進める仕組みにはなっていない。ある程度のテクニックと知識を持った上で、一定の時間をかけてゲームをこなさなければ先に進めない。

カードゲームのように、カード自体(パズドラの場合モンスター)を売買することもできない仕組みだ。カードゲームでは、レアカードが店頭やネットにおいて高値で売買されているが、現状、パズドラのモンスターは売買することができない。プレイヤー同士で交換もできない。

社会人のボクはそれほど魔法石を欲しいと思わないが(お金もないけどねw)、おそらく学生は違う。
クラスの友達よりも強いモンスターが欲しい。仲の良い友達と同じレベルのダンジョンに進みたい。仲良しグループのみんなから頼りとなる助っ人となるモンスターが欲しい。そうした思いが魔法石ショップのボタンを押させる。

ソーシャルゲームでお金を使う人は、自分のためではなく友達のためにお金を使うタイプが多いそうだ。強いアイテムや強いモンスターを手に入れて、友達にとって頼りとなる存在となることが嬉しいそうだ。友達にとって欠かせない存在となるためにお金を払って強いアイテムやモンスターを手に入れるのだそうだ。

パズドラにハマる子どもを持つ親としては、そうした心のメカニズムを多少なりとも理解した上で応対したい。

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